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会社設立の豆知識
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名古屋の会社設立

資金は「会社の血液」と言われるほど事業経営に欠かせず、赤字でも現金預金残高さえプラスなら会社は存続できます。

また、優良企業ほど資金繰り表を有効活用している傾向にあるため、資金繰り表は会社の規模を問わず、必ず作成したいところ。しかし、実際に作成し、有効活用している会社は多くないでしょう。

そこで、資金繰り表の種類、月次資金繰り表の作成方法、返済計画の立て方のモデルケース、第3者の視点を有効活用すべきあることについて解説します。

資金繰り表とは

資金繰り表とは、会社の現金収支を示す表です。それでは、資金繰り表の種類について見ていきましょう。

月次資金繰り表

月次資金繰り表とは、会社の現金収支を月単位で示す表です。毎月の業績を示す月次試算表(損益計算書)と対比させることで、利益と現金残高の関連を見るのに優れています。

そのため、決算書上では利益が出ているのにもかかわらず、資金繰りが苦しい原因が分かります。

年次資金繰り表

年次資金繰り表とは、会社の現金収支を1年先まで月単位で予想をし、ひとつの表に集約させたものです。後述する予定資金繰り表を作成するときに用います。

また、予定資金繰り表は銀行が提出を求める資料でもあります。

日次資金繰り表

日次資金繰り表とは、会社の現金収支を日単位で示す表です。当月分の実績(日次)資金繰り表を参照して、給料の支払日に現金残高が少なくなるなど事前に把握することが可能です。

事前に把握することで、「お金が足りないから銀行から融資を受けよう」といった安易な借り入れを避けることができます。

週次(5~10日)資金繰り表

週次資金繰り表は、会社の現金収支を5~10日単位で示す表です。「現金残高はタイムリーに把握したい。しかし、日次資金繰り表の作成に労力は掛けらない。」という企業向けの資金繰り表です。

実績資金繰り表と予定資金繰り表

実績資金繰り表は過去の現金収支を示す表であり、今後の資金繰りを予測するための参照資料になります。

一方、予定資金繰り表は将来の現金収支を予測した表であり、現金不足に陥る前に事前に手を打てたり、返済計画を立てたり、設備投資をする際の意識決定に活用したりすることができます。

実績資金繰り表と予定資金繰り表を比較検討することで、財務体質の改善にも活用することが可能です。

月次資金繰り表の作成方法

資金繰り表の基本は月次資金繰り表であり、作成方法の入り口としてマスターしたいところです。しかし、決算書のように決まった書式がないため、作成方法は様々です。そこで、経営改善に役立てる資金繰り表の作成方法について説明します。

経営者が把握できる資金繰り表を作成する

そもそも資金繰り表は経営者が把握できてこそ、はじめて経営改善に役立てることをできます。作成するポイントは次の通りです。

自社で作成する

経営改善に役立てるためには、自社でお金の動きを知ることが大前提になります。

そのため、自社で資金繰り表を作成する必要があります。特に予定資金繰り表は経理スタッフ任せにするのではなく、社長自らまたは経営幹部が主導となって作成すべきでしょう。

会計ソフトと連動させない

会計ソフトにデータを入力すれば、自動的に資金繰り表は作成できます。しかしそれでは、お金の動きを把握しづらくなり、経営改善に役立てるには程遠くなってしまいます。

そのため、慣れないうちは手作りで資金繰り表を作成しましょう。

固変区分をする

固変区分とは、費用を固定費と変動費に区分することを指します。

固定費とは、役員報酬や家賃など毎月一定額の費用であり、売上高や販売数量に左右されないのが特徴です。一方、変動費は仕入や外注加工費など売上高や販売数量に比例します。

固変区分することにより、メリットは「予測しやすい固定費」と「売上高や販売数量に影響される予測しづらい変動費」に分けることで、予定資金繰り表を作成しやすくするメリットが得られます。

実績資金繰り表の作成方法

実績資金繰り表の作成方法はおもに2種類あります。

試算表の数値を用いる方法

試算表の貸借対照表と損益計算書の数値を用いて、実績資金繰り表を作成することができます。具体的には、損益計算書の数値をベースにし、貸借対照表の数値を参照して、間接的に実際の現金収支を計算します。

たとえば、介護事業の月額売上高が1,000万円とします。前月末の売掛金1,800万円、当月末の売掛金2,000万円の場合、実際の売上高にかかる入金額は次のように計算します。

月額売上高1,000万円+前月末の売掛金1,800万円-当月末の売掛金2,000万円=800万円

エクセルの関数を用いれば、比較的簡単に実績資金繰り表が作成できるメリットがあります。しかし、間接的に実際の現金収支を計算するため、経営者または経理スタッフに会計の知識が求められます。

現金出納帳・通帳を用いる方法

現金出納帳、当座預金と普通預金の通帳を用いて、実際の現金収支を実績資金繰り表の項目ごとに集計します。
たとえば、売上高を集計する場合、得意先からの入金額を合計します。また別の例として、地代家賃を集計する場合は、不動産会社への支払額を合計します。

メリットは会計の知識が必要ない点であり、デメリットは上記試算表の数値を用いて作成するよりも手間がかかる点です。

予定資金繰り表の作成方法

予定資金繰り表の作成方法はさまざまですが、利益計画と連動させて作成するのがポイントになります。
利益計画が納税額を予測するときの計算ベースとなるというのが連動させる大きな理由です。

それでは、予定資金繰り表の作成手順の一例を紹介します。

(1)利益計画で固定費を予測する

固定費は比較的簡単に予測でき、利益計画と実際の現金収支が一致する傾向にあるためです。

(2)売上計画を立てる

利益計画で売上計画を立て、対得意先の回収サイト(請求書の締め日から入金日までの期間)から入金額を予測します。たとえば、回収サイトが1ヵ月の場合、売上計画の翌月が入金月になります。

(3)仕入計画を立てる
仕入計画の仕入とは変動費のことを指し、売上計画での売上高に原価率を掛けて、概算額を計算することができます。支払額は支払サイト(請求書の締め日から支払日までの期間)から予測します。

(4)納税額を予測する
利益計画の経常利益をベースに法人所得の実効税率(法人税、法人住民税、法人事業税などの税率の合計)を掛けて計算するのが基本になります。この段階で予定資金繰り表の経常収支までが完成します。

(5)借入金返済額を記入する
借入金返済額の元本や定期積金の預け入れる金額など毎月の財務支出額を記入します。経常収支よりも少額なら運転資金の範囲内で財務支出が賄えていることを意味します。

(6)設備投資計画などを盛り込む
設備投資などの投資を計画しているなら予測投資額を記入します。経常収支から上記(5)の財務支出額を差し引いた残額で賄えない場合、銀行融資を受けるなどの資金調達を検討し、銀行交渉などについて事前準備する必要があります。

季節変動も考慮に入れる

予定資金繰り表を作成する際には、繁忙期や閑散期などの季節変動を考慮する必要があります。たとえば、デンタルクリニックは月の稼働日数と診療報酬収入が比例する傾向にあります。

そのため、お盆休みを設ける8月や年末年始を休診する12月などの診療報酬にかかる入金額は通常の月よりも少なく予測することがポイントになります。

また別の例として、アパレル業界が夏の洋服を先行仕入する場合、該当する仕入月の仕入高を通常の月より多く予測しなければなりません。

予定資金繰り表の作成のモデルケース

予定資金繰り表の作成の一例として、借入金の返済計画を立てる際のモデルケースについて紹介します。返済計画により、返済原資の適正額を設定することで、経営改善に役立てることができます。

毎月の返済額が返済原資の適正額よりも低額なら返済余力があることを意味します。たとえ追加融資を受けて返済額が増えても、資金繰りが苦しくなる可能性は低いでしょう。

むしろ、追加融資を財源に積極的な投資をすることで、事業拡大につながるかもしれません。

現状把握をする

損益計算書と実績資金繰り表でお金の動きの現状を把握することが予定資金繰り表を作成する第一歩になります。

「固定費の支出額や財務支出などの毎月の支出額」や「売上高や仕入高にかかる季節変動」などの予定資金繰り表を作成するときの参照すべき内容が分かります。

売上・仕入計画をブラッシュアップする

売上・仕入計画は事業経営の要であり、ブラッシュアップしてこそ経営改善に役立てることが可能になります。たとえば、月額売上高を予測するとします。

計算根拠が乏しかったり、得意先別でなくトータルでして計算していなかったりすれば、計画数値と現実がかけ離れてしまう可能性が高くなります。

また別の例として、仕入計画を立てるプロセスで、仕入単価の見直しをするきっかけになったり、大量仕入から小ロットでの仕入れに切り替え運転資金に余裕を持たせたりことが可能です。

投資計画を盛り込む

将来の展望を示すためにも、投資計画を盛り込む必要があります。

投資計画には、設備投資はもちろん、「自動車の台数を増やす場合の購入金額」や「スタッフの増員に伴う人件費」などを記入します。

売上計画にストレスチェックを加える

ストレスチェックとは、計画数値をさらに保守的に見積もることを指します。売上計画の場合、70%や80%などの掛け目を入れて計画数値を再計算します。

たとえば、「当初の売上計画1,000万円×80%=800万円」とストレスチェックを加えたとします。ストレスチェックの結果、変動費である仕入高や外注加工費なども減額されたり、当初の投資計画のうち、不要な項目を洗い出したりするなど、予定資金繰り表をブラッシュアップすることができます。

借入金の返済額を入れる

予定資金繰り表を作成する最終段階となり、借入金の返済額を記入します。

返済原資の適正額を検証し、追加融資を検討したり、リスケジュール(返済猶予=返済額の減額)の交渉準備をしたりするなど意思決定に活用することができます。

予定資金繰り表を有効活用するポイント~第3者の視点を採り入れよう~

予定資金繰り表は計画数値を実際の数値に近づけ、できるだけ正確に予測することが経営改善に役立てる大前提になります。そのためには、計画数値に客観性を持たせることが大切であり、第3者の視点を採り入れることも一つの手です。

たとえば、売上計画を立てる際の社長の思い入れが強く、希望的観測になれば、予定資金繰り表を有効活用ができなくなる可能性が高くなります。また別の例として、自動車を購入する際、「新車にするのか」「中古にするのか」によって、納税額が違い、予定資金繰り表の作成にも影響を及ぼします。

そのため、経営者の視点だけなく、第3者の視点を積極的に採り入れるとより精度の高い資金繰り表になります。

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