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会社の事業年度は一定期間の経営成績を表すために、基本的には1年間ですが、この事業年度の期末である決算期は会社の指定する期日にすることが出来ます。ここでご説明する会社とは、個人事業ではなく法人の会社を指します。
しかし何の考えもなく決算期を指定してしまうと、決算期に予定や資金繰りが慌ただしくなる場合や、また税制上の優遇措置が受けられなくなってしまう場合もあります。
このような事態を避けるため、事業年度の設定の考え方をご紹介いたします。
事業年度の決め方の考え方4選
事業年度の期末である決算期はどのような考え方で決めればよいのでしょうか。
ここでは4つの考え方をご紹介いたします。
繁忙期を避ける
決算期は事業年度の期末として棚卸業務や期中に処理を行いたいものがあればそれらの処理を行う必要があり、更には決算日以後2ヶ月以内には法人税や消費税の申告業務を行わなくてはならず、決算期は会社の本業以外の様々な業務が発生します。
それらの処理を行うべき時期を本業の繁忙期と同じ時期にしてしまうと、期中に行うべきであったことを失念してしまう場合や、申告業務が期限に間に合わなくなってしまうなどの支障が出る可能性が有ります。
また繁忙期は事業年度の中で収益や費用が大きく変動する時期でもあります。その時期を期末に設定すると、当事業年度の決算予測がしにくくなります。繁忙期を避けた時期に決算期を決めることで、期末より数カ月前であっても期末頃の収益や費用を平年並みと予測することが出来、当事業年度の決算予測が可能となります。
このように決算期のスケジュールに余裕を持たせる、決算予測を行うという観点からすると、繁忙期を避けて決算期を決めることをお勧めいたします。
繁忙期にする
上記の繁忙期を避けるという考え方とは逆になりますが、あえて決算期を繁忙期にすることも一つの考え方です。
これは繁忙期が事業年度の中で収益や費用が大きく変動することを利用して、売上が向上しているように試算表上見せることが出来るためです。
決算期のスケジュールの設定を計画的に行える場合や、売上の数字を大きく見せる必要がある場合などは、繁忙期を決算期に決めることをお勧めいたします。
資金の余裕がある時期にする
会社の資金繰りとして、決算日以後2ヶ月以内に法人税や消費税の支払いがあることは念頭に置かなくてはなりません。これを資金が足りず期限内に納付をしないと、延滞分の更に多くの税金の支払いを求められる事になります。
会社によっては、仕入れが多くなる時期がある、年払いをしなくてはならない会費や手数料の支払いがある、年に1回社員旅行がある、など特定の月の支出が多くなる時期が予測できる場合が有ります。
また会社独自の事由以外に、自動車税の納付は5月、納期の特例を選択した場合の源泉所得税の納付は7月と1月、というように期限の定められた税金の納付時期はあらかじめ把握することが出来ます。
資金繰りの観点からすると、これら支出の時期が予測できる月が、法人税や消費税の納税時期と重ならないように決算期を決めることをお勧めいたします。
消費税の免税期間を長くする
消費税は全ての会社に課税されるものではありません。一般的には設立事業年度とその翌事業年度は消費税が免税となります。
しかしこれには条件があり、まず設立事業年度を免税にするには、資本金を1,000万円以下にする必要があります。更に翌事業年度を免税にするには、設立事業年度の上半期の課税売上高を1,000万円以下にすることと、設立事業年度の上半期の給与等の支払額が1,000万円以下である必要があります。
一般的な会社が設立事業年度とその翌事業年度は消費税が免税となるのは、設立時は資本金が少額であり、かつ事業規模が小さいためです。
しかし資本金を多額にしたい、また事業規模を設立当初から大きくしたい、という場合には上記の条件から外れますので課税事業者となり、消費税の納税義務が発生します。
まず資本金についての条件は事業年度の決算期には関係がありません。期首時点での資本金額で判断が行われますので、免税期間を最大にしたい場合は、資本金を1,000万円以上にするのは設立事業年度の翌事業年度の開始日より後にすることが望ましいです。
次に課税売上高と給与等の支払額についての条件です。
こちらは事業年度の設定により設立事業年度の翌事業年度が免税事業者に該当するかの判断が変わります。この条件は設立事業年度の上半期での合計額が1,000万円以下であるかを判断するため、設立事業年度の上半期をいつに設定するかが重要になります。
【具体例】
例えば、設立事業年度に2,000万円の売上が見込め、上半期が1,200万円、下半期が800万円の場合、翌事業年度は課税事業者です。一方で同じ2,000万円の売上が見込め、上半期が800万円、下半期が1,200万円の場合、翌事業年度は免税事業者です。この例は給与等の支払額についても同じことがいえます。
よって免税期間を最大にしたい場合に、課税売上高と給与等の支払額が設立事業年度より多額になると見込める時は、上半期がどの期間に該当するかを考えて決算期を決めることをお勧めいたします。
また設立以後の数年間は資本金が1,000万円未満であり、かつ年間の課税売上高1,000万円以下、上半期の課税売上高や給与の支払額が1,000万円以下であると予測出来る場合には、その数年間は免税事業者になるため、設立時の事業年度の決算期を考える際に、消費税の免税期間については考える必要はありません。
既に事業年度を決めてしまった場合の変更の仕方
事業年度を決めて事業を開始した後からでも事業年度を変更することは出来ます。以下ではその手続きについてご紹介いたします。
株主総会での決議
決算期の変更は株主総会での決議が必要です。定款において会社の事業年度を定める場合が一般的であり、定款を変更するには株主総会の特別決議が必要です。
この決議は発行済株式総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席して臨時株主総会を開催し、その議決権の3分の2以上の賛成により成立します。
この株主総会の議事録は作成、保存する必要が有ります。
定款の変更
定款とは会社の設立に必要な、会社の根幹の取り決めを記載した書類です。登記申請は不要ですが、定款に記載されている事業年度の変更をする必要が有ります。
税務署等への届け出
事業年度を変更する旨を異動届により、会社の所在地の管轄である税務署・都税(県税)事務所・市区町村役場に提出しなくてはなりません。この異動届には変更後の定款の写しが必要です。
この届け出を行わないと、従前の決算期に合わせて税務署等は会社の状況を把握したままになりますので、場合によっては法人税や消費税の無申告、未納付などを指摘されてしまう恐れが有ります。
これらの手続きを順番に行うことで事業年度の変更を行うことが出来ます。
【会社設立の事業年度】まとめ
このように、事業年度の期末である会社の決算期は、会社により都合の良い時期というのは異なります。決算期は会社が指定できますので、これから決める方は上記をご参考に検討されることをお勧めいたします。
事業年度の決め方について、都合の良い時期の判断に迷われることがありましたら、弊社にご相談いただければと思います。
また、既に事業を開始している会社の事業年度を変更したい場合も、作成し提出すべき書類があり手間に感じられるかもしれません。お困りの際はそれらの手続きのお手伝いもさせて頂きます。
どうぞお気軽にお声かけください。
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