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会社設立の豆知識
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会社設立

 会社を設立すると、いずれは税務調査を受ける事があります。税務調査は会社にとって良いイメージではないものかとは思いますが、日々の会計処理を適正に行っていれば税務調査は怖いものではありません。

 ここでは前編、後編に分けて税務調査に対して日々行える対策についてご説明いたします。前編では日々の会計処理や書類の保管について、後編では具体的な会計処理のチェックポイントについてご説明をします。

税務調査対策その1-基本は日々の記帳

会社の全ての取引を記帳する

会社の会計を企業会計といい、その帳簿作成のルール(原則)として企業会計原則というものがあります。企業会計原則の一般原則という企業会計原則の中でも最も根本的な部分を指し示す規則の中に、正規の簿記の原則という規則があります。

正規の簿記の原則では「企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。」と帳簿の作成について定められた規則です。

この規則では、3つの一定の要件に従い会計帳簿を作成することを要請しています。

その3つの要件とは会社の経済活動のすべてが網羅的に記録されているという網羅性、会計記録が検証可能な証拠資料に基づいているという立証性、すべての会計記録が継続的、組織的に行われているという秩序性の3つです。またこの3つを満たす記帳の方法として複式簿記にて記録を行うことが求められています。

会社の全ての取引を記帳するということは、この網羅性の要件を満たすことを簡単に表現したものです。

全ての取引とは、現金の収入や支出を伴う売上や仕入などのみならず、直接的には現金の収入や支出を伴わない減価償却費や期末における未収や未払の収益や費用の計上も求められています。

これらを故意に除外することは認められず、また故意でなくても会社の経済活動のうち記帳がされていないものが税務調査により指摘をされると、是正を行う必要があります。

公私のあいまいな経費は入れない

 上記でご説明をした正規の簿記の原則の残る2つの要件である、立証性、秩序性の要件を満たすことを簡単に表現すると、公私のあいまいな取引は会社の経済活動として記帳をしない、ということです。

立証性の要件を満たすためには経費の支払いを記帳するのであれば、その支出を行った預金通帳や支払先からの領収書などの証拠資料が必要です。

また秩序性を満たすためには会社として一定の基準を設けて経費の公私の判断を行い、その基準を継続的に使用して記帳を行うことが必要です。

一般的に経費として妥当であると認められる秩序のある判断が必要です。証拠資料や秩序のある判断を追及すると、公私のあいまいな経費を会社の経費として記帳をすることは正規の簿記の原則に反した帳簿となり、税務署から認められる帳簿ではなくなります。

 特に経費を過大計上することは税額を少なく申告することに繋がり、それが税務調査により判明すると、本来納めるべき税額よりも多くの税金の支払いが求められ、結果として余分な支出を伴うことになります。

証拠帳票は最長10年間保存

 記帳を行った会計帳簿や決算書類のみならず、棚卸表や領収書などの帳簿の作成に必要であった証拠書類は、会社に保存義務があります。

この保存期間は平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間、平成27年度及び平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間と定められ、それ以外の条件である場合は7年間の書類の保存が必要です。

原則は紙での保存ですが、CDやDVD、スキャナ保存などが要件により認められています。
これらの帳票を保存期間内に破棄してしまうと、税務調査で資料の提示を求められた際に対応が難しくなり、かつ破棄したことであらぬ疑いをかけられてしまう事もありますので、保存期間が経過するのを確認してから、証拠帳票は破棄を行います。

税務調査対策その2-会計帳簿以外の書類は揃っているか

株主総会議事録

 会社は必ず事業年度ごとに決算書類を作成しなくてはなりません。この作成は多くの会社が代理として税理士等に依頼を行っていますが、本来は取締役が作成すべき書類です。

この取締役が作成した書類を会社として承認するための機関として毎期末に定時株主総会を行う必要があります。

これは取締役が代表取締役の一人のみでも行う必要があります。

そしてこの定時株主総会を行った場合、議事録の作成も必要となります。議事録とはいつ誰が何について話し合ったかを記録する書類です。

実際に顔を合わせて取締役全員が集って株主総会を行う必要はありませんが、形式上集って行ったという記録として毎期に定時株主総会議事録が必要です。

また決算処理の承認だけではなく、役員報酬の変更や資本金の額の変更など株主総会での決議が必要な事項があります。

これらを定時株主総会で行わない場合は臨時株主総会を行う必要があります。この臨時株主総会の議事録も定時株主総会と同様に作成を行う必要があります。

届出書

 会社の設立時には開業届が必要であり、それ以降も会社の消費税の計算方法を決定する消費税簡易課税制度選択届出書や、源泉所得税の納付期限を決定する源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書など会重要な税務署への届出書類があります。

 これらの書類は、その処理方法を選択し、かつ税務署に承認されているという根拠を示す書類であるため、保管が必要となります。

 例えば上記の消費税簡易課税制度選択届出書は、消費税の計算方法である原則課税制度と簡易課税制度を比較した場合、会社にとって納税額が少なくなる計算方法が簡易課税制度だと考えられる場合に税務署に提出をします。この提出を行っていない場合は原則課税制度を選択しなくてはなりません。

 消費税簡易課税制度選択届出書の控えを保存しておくことで、簡易課税制度を用いた消費税の計算方法が認められているという証拠になり、会社にとって納税額が少なくなる計算方法について税務調査での指摘を受ける事が無くなります。

 このように税務署をはじめ、各公共機関に提出を行った届出は控えを保存し提出を行った旨の証拠資料として会社に備えておく必要があります。

税理士との契約内容

 税理士が行う業務として書面添付があります。税理士法第33条の2に定められているこの制度では税理士が申告書の作成に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を財務省令で定める方法により記載した書面を当該申告書に添付を行うことが出来ます。

 つまり書面添付のない決算書類と比較をすると、書面添付のある決算書は信用性の高い書類であるといえます。

 この書類の添付により税務調査を行う税務署は対象となる会社の調査に際して事前に通知し、関与税理士が意見をする機会を設けなくてはいけません。また信用性の高い書類であると考えられるため、税務調査が行われにくくなるともいえます。

 この書面添付制度を利用すると、税務調査への備えは強固なものになります。

まとめ

 このように税務調査は日々の記帳や書類の保管をしっかり行っていれば、指摘を受け税金の追徴を求められる事は少なくなり、怖いものではなくなります。

より強固な備えを行うためには税理士法第33条の2による書面添付制度を利用する方法もあります。

 書面添付制度のご利用について、弊社では毎月監査を行っている会社様のみに行っている業務です。ご関心がおありの方は是非ご相談ください。

 次回は具体的な会計処理のチェックポイントについてご説明をします。

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