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法人として会社を設立すると、社会保険の加入義務が発生します。社長一人の会社でも加入義務はあるのか、従業員を雇う場合はどのような手続きが必要なのか、また社会保険に加入出来ない場合はあるのかを確認していきましょう。
原則は加入義務がある
社会保険とは広義では公的医療保険、年金保険、雇用保険、労働保険をさし、狭義では医療保険、介護保険、年金保険をさします。
この狭義の社会保険である医療保険、介護保険、年金保険については、法人会社は社長一人の会社であっても加入をすることが義務付けられています。この医療保険、介護保険に関する定めである健康保険法及び年金保険に関する定めである厚生年金保険法では、従業員と社長という労使関係について区別なく、事業に従事している人は被保険者に該当するものとしているためです。
一方で雇用保険、労働保険は労使関係に基づいて雇用をされている人が被保険者に該当をします。よって従業員を雇う場合に加入の義務が発生します。
狭義の社会保険加入の手続き
狭義の社会保険である医療保険、介護保険、年金保険は、加入が義務です。健康保険である医療保険、介護保険の加入先は全国健康保険協会又は健康保険組合です。都道府県により保険料率が異なりますが、制度内容が全国共通であるものが全国健康保険協会、保険料や制度内容がそれぞれに異なり、業種等により複数存在しているものが健康保険組合です。一方で年金保険の加入先は日本年金機構に限られます。
ここでは手続きが全国共通でどの法人も加入することの出来る全国健康保険協会及び日本年金機構への加入手続きについてご説明をします。また以下でご説明をする提出すべき書類は全国健康保険協会と日本年金機構へそれぞれ提出を行うのではなく、会社が所在する住所を管轄している年金事務所に提出を行います。
(1)健康保険・厚生年金保険新規適用届
これは会社に健康保険、厚生年金保険の加入義務が発生したことを全国健康保険協会及び日本年金機構に知らせ、加入するための書類です。この届け出には法人の場合は登記簿謄本の添付が必要です。提出期限は会社の設立以後5日以内です。
(2)健康保険・厚生年金保険資格取得届
これは従業員を雇用した場合等、新たに健康保険、厚生年金保険の加入すべき人が発生した場合に、それを全国健康保険協会及び日本年金機構に知らせ、加入するための書類です。この届け出には原則として添付が必要な書類はありません。提出期限は加入すべき事実が発生してから5日以内です。
従業員を雇用した場合、全ての従業員に加入義務が発生するとは限りません。従業員のうち加入義務が発生する人は以下に該当する人です。
① 常時使用される人(役員、正社員等の役職や国籍は問わない)
② パート・アルバイト等で就労日数や時間が常時使用される人の3/4以上である人
③ パート・アルバイト等で就労日数や時間が常時使用される人の3/4未満であるが以下の条件を全て満たす人
ア) 週の所定労働時間が20時間以上あること
イ)雇用期間が1年以上見込まれること
ウ)賃金の月額が8.8万円以上であること
エ)学生でないこと
オ)常時501人以上の会社に勤めていること
健康保険被扶養者(異動)届
これは従業員を雇用した場合等、新たに健康保険、厚生年金保険の加入すべき人が発生し、その人に扶養者がいる場合や、新たに扶養者が増加、減少、変更があった場合にそれを全国健康保険協会及び日本年金機構に知らせ、扶養者を加入、脱退、変更するための書類です。
この届出には原則として被保険者とその扶養者の関係が分かる戸籍抄本や住民票の添付と扶養者の収入が分かる書類が必要です。提出期限は加入すべき事実が発生してから5日以内です。
被扶養者とは原則として以下のいずれか該当する人です。
① 配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母祖父母等の直系尊属でかつ年間収入が130万円未満
② 同居である上記①以外の3親等以内の親族、内縁関係の配偶者の父母や子でかる年間収入が130万円未満
雇用保険加入の手続き
雇用保険は従業員を雇う場合にその従業員の就業形態により加入の義務が発生し、加入先は厚生労働省で、実際の提出先はハローワークです。
(1)雇用保険に加入義務がある人
雇用保険に加入義務がある人は1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上引き続き雇用の見込まれる人です。よって20時間未満の短時間勤務者や、1カ月未満の短期アルバイト等の人に加入義務はありません。
(2)雇用保険適用事業所設置届
会社で初めて雇用保険に加入させるべき従業員が入社した場合にその旨を届け出るための書類です。この届け出には登記簿謄本などの添付書類が必要です。提出期限は入社した日から10日以内です。
(3)被保険者資格取得届
雇用保険に加入義務がある従業員を雇う度に、その従業員を雇用保険の被保険者として加入させるための届け出です。この届け出には賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、他の社会保険の資格取得関係書類、雇用期間を確認できる資料(雇用契約書等)の添付が必要です。提出期限は雇用保険への加入義務が発生した月の翌月10日です。
労働保険加入の手続き
労働保険は従業員を雇う場合に加入の義務が発生し、加入先は厚生労働省で、実際の提出先は労働基準監督署です。
(1)労働保険に加入義務がある人
労働保険に加入義務がある人は全ての従業員です。
(2)保険関係設立届
会社で初めて従業員が入社した場合にその旨を届け出るための書類です。この届け出には登記簿謄本の添付書類が必要です。提出期限は入社した日の翌日から10日以内です。
(3)労働保険概算保険料申告書
労働保険料を計算し届け出るための書類で、届け出の他に保険料の納付も必要です。提出期限は入社した日の翌日から10日以内です。
社会保険が加入できない場合
(1)役員報酬が0円
役員報酬が0円の場合は狭義の社会保険に加入することが出来ません。
(2)役員報酬が社会保険料に満たない場合
社会保険料には最低負担額が定められています。役員報酬が1円以上発生していれば社会保険料を納めなくてはなりませんが、1万円未満程度の役員報酬の場合は報酬額よりも社会保険料の金額の方が上回ります。この場合は社会保険料の滞納のおそれがあるため、協会けんぽに加入を断られることがあります。
社会保険に加入できない場合の対策
協議の社会保険は国民皆保険という、国民すべてに加入の義務があります。よって会社の設立時に社会保険に会社の役員として加入を出来ない場合は、別の方法で何らかの保険に加入をしなくてはなりません。
(1)社会保険の任意継続をする場合
会社の設立の前に会社員であり、協会けんぽの被保険者だった場合、原則は会社の退職時に被保険者ではなくなります。しかし任意継続の手続きをとることで、協会けんぽの被保険者の資格を継続することが出来ます。
(2)社会保険の任意継続をしない場合
任意継続の手続きをとらない場合は、国民健康保険、国民年金に加入をする必要があります。会社として加入を行うのではなく、個人で市区町村役場、年金事務所に赴き手続きを行う必要があります。
まとめ
会社の設立時には社会保険の加入義務はあるのか、またその手続きはどうしたら良いかなど分からないことがあるかと思います。弊社では会社の設立のお手伝いと共に、社会保険に関しては専門家である社会保険労務士と提携を行っております。相談先が税理士で良いか迷われた際も、適切な専門家をご紹介することが出来ますので、是非お気軽にお声掛けくださいませ。
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